東京交響楽団・第45回東京オペラシティシリーズ

事は前後してしまいましたが、こういうものも聴きましたので簡単な感想。
2008年10月11日(土) 東京オペラシティコンサートホール
東京交響楽団・東京オペラシティシリーズ第45回
ボッケリーニ=ベリオ/マドリッドの夜の帰営ラッパ
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番
     ~休憩~
レスピーギ/組曲「鳥」
レスピーギ/交響的印象「教会のステンドグラス」
 指揮/秋山和慶
 ヴァイオリン/オーガスティン・ハーデリッヒ
 コンサートマスター/田尻順
普段は東京交響楽団とは無縁の私が何故これを聴きに態々初台まで出掛けたかと言うと、教会のステンドグラスが聴きたかったから。というのはこじ付けで、会員である知人が都合で行けなくなり、ピンチヒッターを頼まれたからであります。
教会のステンドグラスと言えば、CD初期にシャンドスがサイモン盤を出し、その圧倒的音響で一部マニアの間で有名になったシロモノ。一度はナマで聴きたい作品です。
ということで、怖い物見たさ、いや聴きたさに出掛けたワケ。
結論を言うと、このド迫力音量はオペラシティホールでは無理です。大音響が完全に飽和状態になってしまい、迫力こそ凄まじいものの、微妙な色彩感や立体感は損なわれること甚だしい。
少なくとも私のような老ファンにはシンドイものでした。
聴きものは第2楽章「大天使ミカエル」(ミカエルと龍の空中戦)と第4楽章「偉大なる聖グレゴリオ」。第2楽章では最後に鳴らすドラ(大・中・小が使われる)の轟音イッパァ~ツ、最後の曲はオルガンの壮大なソロと最後のローマの松も顔負けの大音響。
第2楽章の中ほどに登場する舞台裏から鳴らされるトランペットのソロ。レスピーギの指定では本体のトランペット群とは別の奏者が担当するのですが、この日は本体首席のアントニオ・マルティが舞台上で堂々たるソロ。
恐らく舞台裏で吹く適任がいなかったのか、マルティ氏が舞台裏に回る時間的スペース的余裕が無かったための苦肉の対処でしょう。
でも、これでこの箇所の立体的スペクタクルは台無しに・・・。
もちろんソロそのものは巧かったですけどね。
他の作品、個々のプレイヤーは実に上手いし、イタリアのカラフルな音楽を楽しめました。冒頭のボッケリーニもベリオ編という珍品。
しかし秋山和慶、無難にオーケストラを纏めるんですが、どうにも面白くない。面白くない指揮者が指揮台に立つのが東響の伝統のようで、現在の音楽監督もその典型でしょう。
秋山→スダーンと引き継がれている指揮者路線が変わらない限り、私はこのオケを恒常的に聴く気にはなりません。
ということで、もし機会があるなら、ミューザで聴きたいステンドグラスでした。
追記:パガニーニを弾いたハーデリッヒ。ドイツ人らしく派手な音楽ではなく、堅実なタイプ。第1楽章の終わりで盛大にブラヴォを掛けた人がいましたが、チョイといただけませんね。
10年ほど前に全身の60%にも及ぶ火傷から奇跡的にカムバックした人。ソロより室内楽に向いているように聴きました。
アンコールはバッハの無伴奏から第2番ソナタのアンダンテ。ホワイエに掲示されていた「第3番の第3楽章」は誤り。

 

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